埼玉から東京にかけて通称「荒川サイクリングロード」と呼ばれる道があることは有名です。
関東近郊のロードバイク乗りで知らない人はいないでしょう。
実際に僕もこの荒川サイクリングロードは割と近いので早朝サイクリングなどで度々利用しています。
で、この荒川サイクリングロードでのマナーが度々問題になっているようです。
ただ、ネット上で見かける情報はやや古い(2018年頃が多い)のでそれから2年近くたった現状ではどうなのか?僕が走ってみた感想をもとに考えてみたいと思います。
荒川サイクリングロードのマナー問題とは
人によっては耳にタコかもしれませんが、荒川サイクリングロードはあくまでも通称であり別に本当にサイクリングロードとして整備されているわけではありません。
ただ、車は基本走っていませんし信号もなく全体的に道も広いので非常にロードバイクが多く走っていて、実際ほとんどのローディはサイクリングロードという感覚で利用しています。
ですが、当然ママチャリもいますし歩行者やランナー、ウォーキングをしている人も多く見かけます。それどころか隣接する公園や広場を利用する人や散歩している人など、普通の歩道として利用している人も当然多いです。
それらの人から「ロードバイクは猛スピードで我が物顔で走っていて危ない!マナーが悪い!」という話題が度々でるようです。
確かにロードバイクにとって走りやすくスピードも出しやすい道なのでついついスピードが出てしまいますし、実際に高速でかけ抜けていくローディも多く見かけます。
それだけならいざしらず【歩行者のすぐそばを高速で通り抜ける】【自分のペースを優先して「どけ!」などと罵声を浴びせる】【集団で固まって走り道を独占する】などの行為、さらには接触事故などにも発展しています。
これらに対しロードバイクがスピードを出しづらいようにアスファルトを一部砂利道に変えたり、ゲートを設置して道を狭くしたり、速度制限を設けたりといった対策が行われているようです。
エンジョイ勢の僕が実際に走ってみた感想
前述の通り、早朝サイクリングとして度々荒川サイクリングロードは利用しています。
例の『アスファルトから未舗装に変わった箇所』(足立区)や『ゲートによってスピードを落とさざるを得ない箇所』は実際にあります。
(ゲートは日によってあいてたり閉まっていたりです)
確かにその部分は多少スピードはダウンするのは事実ですね。
そもそも高架下などアスファルトが荒れている箇所が多く、どちらにしてもあちこちでスピードダウンしますが。。。
僕はいわゆる【ガチ勢】ではなく【エンジョイ勢】にすぎないので、そもそも猛スピードで駆け抜けられるような脚力や体力は持ち合わせていません。
荒川サイクリングロードを走っているロードバイクの中では遅い方で、実際に走っていてもバンバン抜かされますし普段一人でしか走りません。
ただ、その中でも今までにこれと言って嫌な思いをしたことはありませんし、マナー違反と思われるようなシーンを見たことも正直ないです。
たしかにかなりのハイスピードで走っていく人は見かけますが、ある程度ちゃんと距離を取って抜かしているように見えます。
また、一般道と接続する道が狭い部分や公園やトイレ近くで歩行者が多い場所などでは皆さんちゃんとスピードを落として走行していますね。
一時期マナー問題が取り沙汰されたことで意識が変わった可能性もありますし、そもそも早朝なのであまり人がいない(それでもたとえ5時台でもかなりの人がいますが)ので相対的にマナー違反の人も少ない可能性があります。あるいは単純にたまたまかもしれません。
ただ、少なくとも荒川サイクリングロードは無法地帯でカオス。初心者や女子供が近寄る場所じゃない、というようなことはないので安心してください笑
荒川サイクリングロードを走るロードバイクの大多数はちゃんと良識を持った人だと思います。
マナー問題は荒川サイクリングロードだけの話じゃない
考えてみれば、この手の話って利用者の分母が増えてくれば必ず出てくる話題だったりします。
かつては皇居周辺でも同様にランナーのマナー問題が取り沙汰されたことがありますよね。
その時も
【歩行者のすぐそばを高速で通り抜ける】【自分のペースを優先して「どけ!」などと罵声を浴びせる】【集団で固まって走り道を独占する】などの行為、さらには接触事故などにも発展しています。
と全く同じことがやはり一部のランナーによって行われていました。
また、ライダーには有名なメッカである奥多摩周遊道路という道があります。
ここはやはり車の通行量が少ない、信号がない、適度なワインディングが楽しめる、都心に近いということで人気ですがここもまたスピード違反が後をたたないため、一時通行止めの措置が取られました。
(僕はどちらも走ったことがありますが、そのときもやはり「言うほどかな?」という印象でした)
言ってみればこれもマナー問題と根本的には同じといえるでしょう。
好条件が重なることでローディやランナーにとって人気になる→絶対数が多くなる→そのうち何人か【招かれざる客】が交じる。
こういったパターンがほとんどです。
これはマイナーな観光地がSNSなどで一気に話題になった例(竹田城や農耕の滝など)でも同様で、分母が増えれば必ずマナー違反する人が現れそれに対する対策が取られることになります。
さらに言えば日常生活においてもあらゆるところで「ルール違反」「マナー違反」する人はいますよね。
あおり運転やコロナ関連な最近の話題でも無数に思い当たるはずです。
これらの歴史を見ると【ロードバイクが】【荒川サイクリングロードが】という話ではありません。
結局世の中には一定の割合でマナーを守らない人種は存在し、そしてそれはどこにでも同じく存在しているということでしょう。
これはもはや「人は必ず間違いを犯す」のような避けようがない問題なのかもしれません。
ルールを厳格化しても締め出しをしても防げない
ではルールをもっと厳格化し違反者は出入り禁止にすればいいのか?というとそう単純でもないんです。
有名な話で働きアリの法則というものがあります。
Wikipediaからの引用となりますが、以下のような法則です。
- 働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。
- 働きアリのうち、本当に働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリはサボっている。
- よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
- よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。
- よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。
- サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。
サボるアリをルールやマナー違反者に置き換えてみてください。
つまり、ルールを厳格化して違反者を締め出して【ルールを守る人たちだけが残った】としてもそこからまた新たな違反者が生まれてしまうということです。
これはアリだけではなく人間、ひいては生物全体のシステムの起源にも関わっていると言われています。
集団の中で一定数ルールを守らない人種は生まれるのは生物学的に避けられないのかもしれません。
そもそもルールを厳しくしすぎると、本来のメリットが失われごく一部の招かれざる客のために大多数の利用者が不利益を被ることになります。
するとやがてデメリットの方が大きくなってしまい、最終的には利用する意味がなくなってしまいます。
経済学的にも逆効果ということですね。
じゃあいっそのことはじめからルールなんて考えず無法地帯にすればいいじゃないか、という思いを持つかもしれません。
確かに働きアリの法則でも「サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。」とあるのでやがては無秩序の中にも秩序は自然と生まれます。
しかし、それには一定の時間が必要となりますし社会には弱者救済という考え方があるため『秩序が形成されるまで被害者の方は我慢してください』というわけにはいきません。
従って、ある程度の線引きをしていくのが現状ではベターになるでしょう。
そのため、荒川サイクリングロードのように「速度規制」「一部アスファルト廃止」や「ゲート設置」、あるいは皇居ランナー向けに策定された「皇居周辺歩道利用マナー9カ条」などは厳しすぎず一定の効果がある施策といえるでしょう。
まとめ
というわけで荒川サイクリングロードでのマナー問題について僕なりの考察をまとめてみました。
それほど荒川サイクリングロードを走り込んでいるというわけでもないためあくまでも1利用者としての見解ではありますが、SNS界隈で言われているほどマナー違反がひどいとか、ロードバイク向けに取られている対策が厳しすぎるとは感じませんでした。
これからもちょいちょい荒川サイクリングロードは利用していきたいので、今後もみんなが気持ちよく利用できるようになればいいですね。