自転車通勤を始める前に不安に感じる、もしくは始めてみて実際に感じる事として自転車通勤による疲労感があります。
『元々体力に自信がないんだけど…』『長距離の本格的な運動を毎日続けられるのかな…』そんな不安を持つ人もいるでしょう。
あるいは現在進行形で毎日の疲労に悩まされている人もいるかもしれません。
自転車通勤は本来ただの通勤手段の一つですから、疲れて仕事にならないのでは意味がありません。
今回は自転車通勤による疲労の原因とその回復のコツについてお伝えしたいと思います。
そもそもなぜ疲労が溜まるのか
まず、そもそもなぜ自転車通勤で疲労が蓄積するのか、そのメカニズムを考えてみます。
一般的に日々の自転車通勤によって使われる筋肉や心肺機能のダメージが翌日まで回復しきらない状態を疲労が溜まっていると考えてよいでしょう。
これは単純にダメージに対して回復のバランスが追いついていない事を示しています。
それまで運動していない人が自転車通勤を始めた場合、最初は心肺機能が十分に鍛えられていませんし必要な筋力も不足しています。
そのため、一度の通勤でかなりの疲労が溜まることになります。
年齢にもよりますが自転車通勤初日の場合、99%の人はまず1日では回復出来ないでしょう。
特に全身の筋肉痛には悩まされるはずです。
ロードバイクで使う筋肉は想像以上に広範囲であり、全身運動と言っても過言ではありません。
それまでほとんど使われる事がなかった部分の筋肉を使うので、筋繊維のダメージはかなり深刻です。
大人しく過ごしても少なくとも1週間程度は筋肉痛が残るはずですし、それで挫折してしまう人もいます。
しかし、多くの場合は筋肉痛のダメージが残っても普通に食事と睡眠を取っていればやがて回復していきます。
これは一時的に疲労度が高まるものの、回復速度がそれを上回る為やがてダメージが解消されていくからです。
筋肉痛はわかりやすいものですが、疲労は筋肉だけでなく関節や骨にも溜まっていきます。
いわゆるオーバーワークと呼ばれる回復が追いつかないことで各部にダメージがあり、それによって体が悲鳴をあげている状態が疲労が溜まっていると表現出来る訳ですね。
疲労の原因別対処法
では次にそれぞれの細かい疲労蓄積の要因と要因別の対処法についてご紹介します。
大きく分けて以下の3つが大きな要因になります。
- 自身の体力、筋力による問題
- エネルギー、休養不足による問題
- サイクリングフォームなどやり方の問題
また、先程は翌日以降に影響が残るような疲労についてお伝えしましたが、朝通勤後に会社についた時点で疲れ切って仕事にならない!これもまた困りものですよね。
そのため『長期的な疲労の回復』と『短期的な疲労の回復』の両面からそれぞれの対処法を考えてみます。
一つずつ見ていきましょう。
1.体力、筋力不足による問題と対策
まず最初に考えられるのは本人の体力や筋力不足による疲労の蓄積です。
正直言って長期的な観点で言えばこの問題はすぐにクリアされます。
元も子もない話ですが『30kmも40kmも全力疾走する』とか『峠越えをしながら毎日通う』といった過酷な場合を除き、現実的な自転車通勤程度の負荷はそれほど大きいわけではありません。
それまで全く運動したことが無い場合は最初の数日は筋肉痛や疲労感に悩まされると思いますが、そのうち慣れます。
体力面についても続けていくことでみるみる向上しますから、2,3ヶ月もすればほぼ気にならなくなるでしょう。
また、体力筋力面の強化だけでなく効率的にパワーを使えるようになるので無駄なエネルギー消費が抑えられるようになるのです。
したがってこの場合の対処は【とにかく自転車通勤続けること】で終わりです。
しかし短期的に見た場合(主に最初の頃や強風の日などは)体力が底をついて会社についた時点で息が上がって動けない、というのは有り得る話です。
あるいは足がガクガクになってプルプルと震えてしまうなどの症状が出る場合もあるでしょう。
その場合は十分に水分をとりながら落ち着いてその場で息を整えましょう。
ある程度動けるようになったら汗を拭いて着替えを済ませるうちに自然と回復していきます。
筋トレ的な理論で言えばBCAAやクエン酸の摂取によって回復を促すこともできますが、そこまで深刻なレベルでエネルギー切れになることはまずありません。
筋力にせよ体力にせよ、じっとして回復を待てばその後の仕事には影響しないはずです。
これは自分の体力に見合っていないオーバーペースが原因ですから、ペース配分によって回避することが可能です。
目的地につく前、残り2km程度の距離になったら一旦ペースを落として走りましょう。
感覚的には『会話しながらでも余裕』なレベルまで落として構いません。
ギアも何段階か落とし軽い力でペダルが回せるようにします。
これにより息を整え、体力回復&筋肉のクールダウンをしながら走ることができます。
これだと目的地についた時点で疲労困憊になっていることはなく、汗もひきやすいので特に夏場には効果的な走行法ですね。
2.エネルギー、休養不足による問題と対策
エネルギーが尽きてしまい疲労が回復しない場合は、そもそも回復に必要な栄養や急速が不足しているということになります。
ダイエットを兼ねて自転車通勤を行う場合、必要以上に食事量を減らすと栄養不足に陥ります。
夏までに痩せよう、といって無理に何日も食事量を減らしながら自転車通勤を続ければ慢性的なエネルギー不足が続くことになりますね。
これも長期目線で言えば十分な栄養を摂取しながら時間をかけて痩せていくことが重要です。
消費カロリーが多いからと言って一気に痩せようと考えるのは無謀です。
ダイエット以外の理由で栄養不足に陥る可能性があるのは、寝坊による朝食を抜いた場合などですね。
せめて途中のコンビニでなにか甘い物を取りましょう。例えばアンパンなんかは低脂肪ですしエネルギー効率がよいのでおすすめですね。
無理ならせめて100%ジュースでもよいのでせめて何か口にいれてから走りましょう。
朝食抜きの自転車通勤は危険なので避けましょうね。
ハンガーノックに要注意!自転車通勤するなら朝食は絶対欠かさずに!エネルギー不足による疲労は回復よりも予防が大切です。
上記のリンクでも書きましたが一度ハンガーノックになってしまうとなかなか回復しないので、意識的にエネルギーを摂取することが重要になります。
もちろん栄養だけでなく休養が不足している場合も同様にNGであることは言うまでもありませんね。
毎日の十分な睡眠時間の確保はもちろん、仕事中に眠くなってしまうという場合は昼休みに昼寝を挟むというのが非常に効果的です。
昼寝は午後の仕事のパフォーマンス改善にもよいとされており、自転車通勤をしていなくともぜひおすすめしたい習慣ですね。
15分~20分程度で十分(というかそれ以上は長すぎ)で、かなり頭がスッキリしますしもちろん疲労回復に効果抜群です。
そこまでしてもなお慢性的に栄養不足が続くようならば、そこでようやくBCAAやクエン酸といったサプリメントを補助的に摂取すれば良いと思います。
ただし、僕も過去にこれらのサプリメント(他にも魚油やアミノ酸なども)を継続的に摂取していた時期がありますが、正直体感的な効果はほぼわかりませんでした。
なのでこのあたりの対策は自己責任でお願いします。(個人的には単純に食事や睡眠の量を増やす位で十分だと思いますが)
3.サイクリングフォームによる問題と対策
フォームが悪いと必要以上に筋肉が緊張して血流が悪くなります。
特に寒い時期だと無意識に歯を噛み締めていたり、身体が縮まっていることがよくあります。
実はこれ、身体の歪みにもつながる為放置すると結構危険です。
家に帰ってからしっかりとマッサージする、暖かいお風呂に入るなど筋肉の緊張をほぐして血流を良くするのがよいでしょう。
特にマッサージは効果的で、カイロプラティックや整体に行くと人によっては劇的に身体が軽くなるかもしれません。
僕も肩こりに悩まされていたとき、整体に通ってマッサージを受けていましたが結構効果的でした。
ただし、処置を受ける先生の知識や相性によってかなり効果にバラつきがあるので色々な場所を通ってみることをおすすめします。
中には効果がないばかりかかえって体の歪みを促進する場合もあり得るので注意が必要です。
整体や整骨院、カイロプラクティックはいずれも区別がつきにくく星の数ほど店舗がありますからまさに玉石混交ですね。
また、フォームがおかしいと疲れるだけでなく関節やすじを痛める可能性もあるため、長期的な根本対策としてはなるべく早い内に正しいフォームをマスターすることです。
以下の動画がわかりやすいと思うので参考にしてみてください。
TVなんかで見るイメージだけでやたらと前傾姿勢になったりしてはいけませんよ。
フォームがおかしい場合はそもそもサドルやペダル、ハンドルの位置があっていない可能性があるので以下の記事を参考に見直しをしましょう。
自転車通勤用ロードバイクのサイズの選び方、ポイントは2つだけ!まとめ
自転車通勤に関する疲労とその原因、対処法について3つのパターンからまとめてみました。
最後にもう一度おさらいしてみましょう。
要因 | 短期的対策 | 長期的対策 |
体力筋力不足 | ・休む。 ・ペース配分を気をつける。 | 自転車通勤を続ける。 |
エネルギー栄養不足 | ・昼寝。 ・通勤前に食事をとる。 | 毎日しっかりと食事と休養をとる。 |
フォームの問題 | ・マッサージやお風呂。 | 正しいフォームを身につける |
自転車通勤は心地よい疲労感を感じながら心身のストレスを解消できるもののはずです。
疲れ切ってしまい仕事やプライベートに影響がでるようでは意味がありませんし、非常にもったいないとおもいます。
この記事が楽しく自転車通勤を続けられる助けになれば幸いです。
ぜひ参考にしてみてください。