自転車通勤は有酸素運動として健康維持に有効であることはもはや疑う余地は無いでしょう。
通勤時間を利用し無理せず続けられる為、非常によい運動習慣になりますからダイエットや体力維持に非常に向いていると言えます。
では、健康維持からさらに一歩進んでトレーニングという観点で自転車通勤を続ける場合はどうでしょうか。
ロードバイクは下半身だけでなく上半身も使う全身運動ですから、自転車競技だけでなく幅広いスポーツのトレーニングとしても効果がありそうですよね。
今回は自転車通勤のトレーニング効果について考えてみます。
最も重要な事は正しいフォームと目的意識
トレーニング全般に言えることですが、十分な効果を得るためには正しいフォームで行うことが非常に重要です。
誤ったフォームでは効果が半減するだけでなく、厄介なことに多くの場合怪我につながります。
ロードバイクの場合、ちゃんとフレームのサイズがあっていることやサドルの高さが適正かどうかといった点が前提になりますね。
また、マインド的な話になりますが目的意識を持つことも重要です。
それがないと自転車通勤はただの『移動』で終わってしまいます。
例えば筋力強化の為にしっかりと効かせるべき所に十分な負荷を与える、体力強化の為に一定のペダル回転数を維持する、といったことも目的意識がなくてはできませんからね。
これらを意識することでトレーニング効果はまるで変わってきます。
その前提で自転車通勤のトレーニング理論を考えてみましょう。
自転車競技の為のトレーニング効果
自転車競技はロードバイクのレースに出る場合などをイメージしています。
ロードバイクで早く走るためには、実際に走り込んだ距離が大きく影響すると言われていますから、毎日の自転車通勤で距離を重ねることは有効といえます。
毎日実施するならば様々な天候や気候条件に応じた実戦経験が積めますからそういった意味でも大きいですね。
しかし、どうしても都市部での朝晩の自転車通勤では信号や歩行者、車など外的要因によりペースを維持しながらで走り込むこと困難です。
たまに信号ごとの区間を使ってインターバルトレーニング(速いペースで走る区間とゆっくりペースで走る区間を交互に組み合わせるトレーニング方法)を実施するという方法を紹介している例がありますが、個人的にはあまりオススメしません。
道路状況を無視してペースを重視すると事故の危険性が高まるからです。
そもそも公道で自分のペースを重視したトレーニングをすること自体危険と言わざるを得ないでしょう。
従って、ロードバイク自体の走り込みとして一定の効果はあるが、思うようにペースを上げられない事が多く実践的なトレーニングにならないことが多い、という結論になると思います。
そういう点では郊外の道路やサイクリングロードの方がずっとトレーニングには向いていますね。
その他のスポーツの為のトレーニング効果
自転車競技以外のスポーツ全般の補助的なトレーニングと仮定すると、単純に全体的な筋力強化、体力強化の底上げを目的とするならばある程度効果はあると思います。
冒頭で言ったようにロードバイクは全身運動になりますからバランス良く筋力を強化できますし、体力向上にももちろん有効です。
ただ、ある程度続けているとどうしても体がそれに慣れてしまいますから意識的に通勤ルートやギア比を変えてみる、といったように負荷具合を変更していかないと効果は頭打ちになってしまうでしょう。
また、当然ですがあくまでも補助的なトレーニングにすぎないのでそれだけで全てまかなえるわけではありません。
例えばサッカー選手が下半身強化の為に自転車通勤を行ったとしても、サッカーに必要な筋力はこれだけでは足りないはずです。
同じ自転車競技ではない限り、使う筋肉はそのスポーツによって異なるからです。
体力強化の面からみても自転車通勤だけで十分な心肺機能を手に入れるのは無理があります。
先程も言ったように外的要因によりペースを維持出来ないので、自転車通勤だけでは正直期待するほど体力はつかないでしょう。
(それでももちろん普段運動しない人と比べれば雲泥の差がつきますが)
結論としてはこちらも補助的なトレーニングとしては一定の効果はあるがすべてカバーできるほどではない、という感じですね。
筋トレとしてみた場合の筋肥大効果
最後に自転車通勤で筋トレとしての効果が得られるかを考えてみます。
ここで言う筋トレはいわゆる筋肥大を目的としたものですね。
特にロードバイクのプロの選手は丸太の様な逞しい太腿のイメージが強いですよね。
では一般の人でも自転車通勤を続ければ同じように太腿の筋肉が付くのでしょうか。
結論から言うと、残念ながら通常の街中の自転車通勤だけではあれだけの筋肥大には繋がりません。
その理由としてまず知っておくべき重要なポイントが『筋肥大に必要な3要素』です。
- 十分な負荷
- 十分な栄養補給
- 十分な休息
ウェイトトレーニングをしている人にとっては常識ですが、これらはどれが欠けても筋肥大には繋がりません。
まず最初の『十分な負荷』という点ですが、これが正直かなり難しいです。
通常の平地での走りでは筋肥大につながるほどの負荷とは言えません。
『大腿四頭筋』と呼ばれる部分がいわゆる太腿の筋肉にあたりますが、これは全身の中でもかなり太い筋肉です。
一般的にここを筋肥大させようとするとスクワットやレッグエクステンション(椅子に座った状態で負荷をかけたまま曲げ伸ばしするトレーニング)がメインになりますが、その際にはかなりの負荷をかける必要があります。
自転車通勤で同レベルの負荷をかけようとすると重いギアで急な坂を登る、とかしない限り難しいと思いますが、ちょうど良い坂が通勤経路上にあるかという点が問題になるでしょう。
山登りなどの『峠攻め』をしないと難しいのではないでしょうか。
おそらくプロの自転車競技の選手もロードバイクだけであの筋肉を得たわけではなく、筋トレも併用しているのではないかと思います。
また、残りの2要素である『十分な栄養補給』と『十分な休息』には日々の食事や睡眠がかなりのウェイトを占めることになり、それらの管理も決してないがしろには出来ません。
特に食事面はある程度知識が必要な分野ですね。
まとめ
というわけでトレーニングの観点からみた自転車通勤について考えてみました。
結論をおさらいしておきます。
- 自転車競技のトレーニングとしてみた場合、走行距離は増えるし様々な気候条件に応じた経験は積めるが、ペース維持ができないので実践トレーニングとしては不足気味。
- 自転車競技以外のスポーツのトレーニングとしてみた場合、こちらも一定の体力、筋力強化には繋がるがすべてカバー出来るほどのものではない。
- 筋肥大を狙ったトレーニングとしてみた場合、一般的な通勤経路を走っているだけでは負荷が足りないため劇的な効果は望めない。
つまり最終的なまとめとしては『自転車通勤は一定レベルの効果は確かにあるが、それだけで完結出来るほどの効果は得られない』ということになります。
僕自身も3年近い自転車通勤を通してある程度体力や筋力はついたと思いますが、ズボンの太腿部分がきつくなるようなことは全くありませんし階段を駆け上がればゼーゼーします。
自転車通勤はあくまでも補助トレーニングの一環と考えておきましょう。
無理してペースを上げて事故ったりしたら元も子もありませんからね。
参考になれば幸いです。
※トレーニングではなくダイエット目的ならば以下の記事もあわせて参考にしてみてくださいね!
自転車のカロリー×距離の計算式を公開!最も効率的に痩せる習慣はコレ! 結局、自転車通勤で痩せるのか?3年間の実体験によるダイエット効果